- 「工場は危険」というイメージがある
- 工場勤務がどれくらい危険か知りたい
- 工場で安全に働きたい
「工場の仕事は危険なイメージがある」「危険が少ない工場の特徴は?」など、工場の安全について不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
確かに工場は3K(きつい・汚い・危険)のイメージが根付いているため、「工場=危険」と感じてしまいますよね。ですが、工場勤務の現状は決して危険ではないのです。
そこで今回は工場勤務の危険性について、政府が調査したデータなどを参考に解説していきます。工場でケガなく安全に働くためにも、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
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工場は「危険」なのか?

まずは、工場にはどれくらい危険が潜んでいるのか、政府のデータをもとに見ていきましょう。
工場の労災事故の現状
厚生労働省の調査によると、平成31年(令和元年)度の死傷災害が約2万7000件、死亡災害は約140件というデータがあります。(参考:「平成 31 年/令和元年労働災害発生状況の分析等」)
製造業の就業者数が約1100万人ですので、「製造業で働いて怪我をする確率は0.25%(400人に1人)。死亡する確率は0.0013%(8万人に1人)。」と計算できます。
ちなみに、交通事故は1年間で100万人近くの被害者(人口の100人に1人)が出ていることを考えると、「工場はそこまで危険ではない」と言えるでしょう。もちろん、勤務する工場によっては死傷の確率をさらに下げられます。
工場の労災事故は年々減少傾向
製造業の労働災害の死亡者数は年々減少しています。
1974年には1000人近くが製造業の労働災害によって死亡していましたが、現在は200人を切っており、約50年で1/5までに減少しました。(参考:「製造業における労働災害の動向」)
製造業の労働災害が減少している理由としては、「安全管理の徹底」「設備の最新化」「危険な作業の機械化」「労働環境の改善」などがあげられます。
「工場勤務=危険」というイメージは年々改善されているのです。
工場で起こる事故とは?

ここまで、工場で起こる労災事故数から、工場勤務の危険は少ないということを紹介してきました。では、工場で起こる事故は具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでも厚生労働省の調査を参考に、業種別・事故の型別で労災事故件数を紹介していきます。まとめると以下の通りです。(参考:「平成 31 年/令和元年労働災害発生状況の分析等」)
【平成31年/令和元年度 製造業における労働災害発生状況(業種中分類別・事故の型別)】
死亡災害(人) | 死傷災害(人) | ||||
---|---|---|---|---|---|
死亡事故全体 | 141 | 死傷事故全体 | 26,873 | ||
業種別 | 金属製品製造業 | 20 | 業種別 | 食料品製造業 | 7,963 |
食料品製造業 | 16 | 金属製品製造業 | 4,186 | ||
輸送用機械等製造業 | 13 | 化学工業 | 2,039 | ||
化学工業 | 12 | 輸送用機械等製造業 | 1,911 | ||
鉄鋼業 | 12 | 一般機械器具製造業 | 1,742 | ||
事故の型別 | はさまれ・巻き込まれ | 49 | 事故の型別 | はさまれ・巻き込まれ | 6,959 |
墜落・転落 | 23 | 転倒 | 5,070 | ||
激突され | 14 | 墜落・転落 | 2,975 | ||
崩壊・倒壊 | 8 | 動作の反動・無理な動作 | 2,646 | ||
飛来・落下 | 8 | 切れ・こすれ | 2,571 |
死亡事故件数を業種別に見ると、どの業種にも大きな差はなく「業種によって死亡する確率は変わらない」ということがわかります。
事故の型別で見ると約1/3を「はさまれ・巻き込まれ」が占めています。機械のはさまれ・巻き込まれには十分に注意しましょう。
死傷者数を業種別に見ると約30%を「食料品製造業」が占めています。
食料品工場でケガが多いのは「カット」や「材料を混ぜる機械」などがあることが理由として挙げられます。事故の型別で見ると、「はさまれ・巻き込まれ」に次いで「転倒」が多いです。
工場では階段が急だったり、足元にレールや段差があったりするため、足元に注意する必要があります。
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労働災害は年齢が上がるにつれて起こりやすい

ここまで、工場で起こる事故について、業種別・型別に紹介してきました。
工場で起こる事故は「はさまれ・巻き込まれ」が多いことはお分かりいただけたかと思います。
ここからは、労働災害について年齢別に見ていきます。労働災害は年齢が上がるごとに起こりやすくなるので、注意が必要です。
ここでも厚生労働省の調査を参考にして、年齢別の労働災害死傷者数を見ていきましょう。(参考:「平成 31 年/令和元年労働災害発生状況の分析等」)
【平成31年/令和元年度 労働災害発生状況(年齢別死傷年千人率*)】
年齢 | 年齢別死傷年千人率* | |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
19歳以下 | 3.23 | 1.45 |
20~24歳 | 2.36 | 1.04 |
25~29歳 | 1.94 | 0.83 |
30~34歳 | 2.04 | 0.82 |
35~39歳 | 2.18 | 0.98 |
40~44歳 | 2.27 | 1.16 |
45~49歳 | 2.52 | 1.40 |
50~54歳 | 2.80 | 2.02 |
55~59歳 | 3.03 | 2.73 |
60~64歳 | 3.46 | 3.39 |
65~69歳 | 3.89 | 3.94 |
70~74歳 | 3.91 | 3.94 |
75歳以上 | 4.04 | 3.56 |
(*年千人率とは、1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合を示すもの)
20代後半~30代前半の男性の場合、労働災害でケガをする確率は1000人中2人程度ですが、60代後半以降の男性では1000人中4人と、けがをする確率はほぼ2倍となります。
年齢が上がるにつれてケガをしやすくなり、とくに事故の型別だと「転倒」や「墜落・転落」が増える傾向にあります。
上記は製造業だけでなく、産業全体のデータですが、年齢が上がるにつれて転倒や転落での労働災害には気を付けるようにしましょう。
工場の「危険」を回避するには?

工場では怪我をする確率が0.25%、死亡事故は0.0013%なので、「危険」という場面は少ないと言えます。
ただ、その中でもケガをする確率をさらに下げるためにも、危険を回避するポイントを押さえておきましょう。
- ルールを守る
- 危険が少ない仕事を選ぶ
- 自己管理をする
工場の危険を回避する方法1.ルールを守る
工場での危険を回避するポイントとして「ルールを守る」ことが大切です。
工場では安全管理のためにそれぞれのルールが設けられています。
まずは工場のルールに従うことが、危険を回避する最も重要なポイントです。
工場で起こる事故の多くは「労働者のルール違反」が原因です。
安全のためのルールをしっかりと守るだけで、おおかたの危険は回避できるでしょう。
- 作業マニュアル
- 身だしなみ等のルール
- 5S活動の徹底
- KYT
具体的な内容は工場によって異なりますが、対策のためのルールを作業員に教育しているところが多いです。
作業マニュアルなどは、「その通りに作業をすれば事故が起こらない」というように作られています。ルールの通りに行えば事故は未然に防げるでしょう。
また、服装などの身だしなみも大切です。
工場の労災でも割合の多い「はさまれ・巻き込まれ」は、「ファスナーを空けている」「袖が余っている」などの服装の乱れから起きてしまう場合も多く、各工場で服装についても安全対策が行われます。
5S活動とは?
5S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの頭文字を取ったものです。
工場や製造業の現場で安全安心を作るためのスローガンです。
- 整理…必要・不必要を区分し、不要なものは処分する
- 整頓…必要なものが誰でも取り出せるよう、整頓する
- 清掃…作業がスムーズに行えるよう製造する
- 清潔…清潔な状態を保つ
- しつけ…清潔を保つためのルール作り、習慣づける
個人で意識するだけでなく、工場全体で5Sが徹底されている工場だと、事故も起こりにくい傾向にあります。
清潔な状態を保つことが大切だと説明しましたが、工場が全てキレイというわけではありません。
KYTとは?
KYTとは、危険予知訓練のことで、K(危険)Y(予知)T(トレーニング)の頭文字を取って呼ばれます。
危険に対する予知力を磨き、事故を未然に防ぐことが目的とされています。
危険予知のトレーニングを重ね、労災事故件数を減らすために定期的に実施している工場も多くあります。
具体的なやり方は工場によってさまざまですが、従業員全体でリスクに対する対処法を共有することで、未然に事故を防ぐことができます。
工場の危険を回避する方法2.仕事選び
工場の危険を回避する方法として、「危険が少ない仕事を選ぶ」ことも大切です。
多くの工場では安全管理が徹底されていますが、その中でも危険が少ない仕事を選ぶことで、事故の確率をさらに下げられるでしょう。
具体的には、「機械に巻き込まれにくい仕事」を選ぶといいでしょう。
先ほども参考にした厚生労働省の調査によると、労災事故全体の25%以上が「はさまれ・巻き込まれ」です。
そのため、機械にあまり触れない「検査作業」「仕分け作業」などが良いかもしれません。
工場の新しさも重要
また、「工場の新しさ」も重要です。
新しい工場は安全管理が行き届いているほか、設備なども新しいため事故が起こりにくい傾向にあります。
反対に古い工場だと、「機械設備が古くて危ない」「床が油で滑って危ない」など、新しい工場と比べると危険があります。
工場は就業前に見学ができる場合も多くあります。
「その工場は新しいか」「ルールはしっかり守られているか」「危険が少ない仕事はあるか」などを就業前に見れると安心して就業できるため、見学できる場合は積極的に申し込むのがおすすめです。
工場の危険を回避する方法3.自己管理
工場で事故やケガを回避するためには「自己管理・体調管理」も大切です。
「寝不足でフラフラする」「疲れがたまっている」などの状態で勤務するのは危険が伴います。
また、「ストレスでイライラしている」「業務が溜まっていて間に合わない」など、怒りや焦りで安全管理が雑になりやすいときも要注意です。
とくに労働力が不足していると、どうしても1人が担う業務量が多くなってしまい、こういった焦りや怒りに繋がってしまいます。
睡眠や体調などの自己管理を徹底して危険を未然に防ぎましょう。
また、人手不足などで手に負えない場合は、「その工場を辞める」「上司に相談して人員を増やしてもらう」などの対処をしましょう。
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万が一ケガをしたらどうすればいい?

工場では安全管理をして危険を回避すれば、事故はなかなか起こりません。
ですが、万が一事故が起きてけがをした場合、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、工場でケガをした際の対処法を紹介していきます。
ケガをした際にやるべきことをしっかりと把握し、もしもの際にも対処できるようにしておきましょう。
基本的には以下の手順です。わからないことや疑問な点があれば、上司や担当者と相談しながら対処していきましょう。
- 労災指定の病院で治療してもらう
- 労災申請書を書く
- 労働基準監督署による事実関係の確認
まずは労災指定の病院で診てもらいましょう。
労災に認定されると、治療費は労災保険からまかなわれます。
労災指定の病院でないと、労災認定後に現金で還付されますが、治療費全額をひとまず払わなければなりません。
ケガを診てもらったら、労災の認定を受けるために労災申請書を書かなければなりません。ケガをした場所や状況、かかわった人などを忘れないようにしておきましょう。
後日、労働基準監督署による事実関係の確認が行われます。
工場に立ち入り調査される場合もあるため、事故の状況はしっかりと覚えておきましょう。
【まとめ】意識次第で工場の危険は防げる

ここまで工場勤務の危険性について、政府のデータをもとに紹介してきました。
この記事の内容を改めておさらいすると以下の通りです。
- 工場の労働災害でケガをする確率は0.25%、死亡する確率は0.0013%
- 年々、工場での労働災害は減少傾向にある
- 工場で起こる事故は「はさまれ・巻き込まれ」が多い
- 年齢が上がるにつれて事故の確率も上がるため注意
- 工場勤務で危険を回避するには「安全管理のルール」を守ることが重要
- 万が一ケガをした場合は労災指定の病院へ行き、後日労災申請書を書く
工場勤務はイメージよりもケガは起こりにくく、工場で起こりやすい事故を把握し、安全管理を徹底すれば問題なく働くことができます。
大切なのは「常に安全を意識する」ということです。
ぜひこの記事の内容を参考に、事故やケガのない安全な工場勤務を目指してくださいね。
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