工場勤務は休日が少なく、厳しい労働環境だと思っていませんか?
しかし、その考えは間違いかもしれません。無意識のうちに、より良い労働環境や充実した休日制度のある職場を見逃している可能性があります。
厚生労働省の令和4年度のデータによると、製造業は年間休日数が平均120日前後で一般企業の平均110.7日を上回っており、一般企業より多いのです。
本記事では、「工場での働き方にあわせた休みの違い」や「休日が多い工場の特徴」を解説します。工場勤務の実態を知り、あなたのワークライフバランスを向上させるチャンスになりますので、最後までお読みいただければ幸いです。
工場の休みはどれくらいある?
製造業の工場では、年間休日数が充実していることが特徴的です。労働基準法で提示している年間休日数は約105日であるのに対し、工場では約120日前後と、およそ2週間多い傾向にあります。これは厚生労働省の調査結果からも裏付けられています。
上記の点で、製造業は他業種と比較すると、従業員にとって魅力的な休暇制度を提供しているといえるでしょう。
また、夏季休暇は多くの場合、お盆期間を含む8月中旬に設定され、約8〜10日の連続した休暇を取得できる工場も多く存在します。
このような充実した休日制度は、従業員のワークライフバランスの向上に寄与しています。
(参考:令和4年就労条件総合調査|厚生労働省)
一般的な土日休みの工場
工場は基本的に土日休みが多く、特に親会社から部品製造を請け負う子会社に多い傾向です。理由は、親会社の営業スケジュールに合わせるためです。
自動車製造業界では、夏季休暇や年末年始休暇も親会社に準じることが一般的です。近隣住民への配慮から土日休みとする工場も少なくありません。
ただし、繁忙期には土日出勤もするケースもあるため注意が必要です。その際は振替休日で年間休日数を確保されます。
シフト制の工場の休み
工場のシフト制勤務は、工場のスケジュールに合わせて休日が変動します。年間休日は土日休みより少なく、長期休暇期間も稼働することが多いです。
しかし、仕事とプライベートの両立がしやすく、平日の用事も休日を使わずに済んだり、空いている平日に旅行できたりするメリットがあります。
一般的に休日をはさみシフトが変わり、4勤2休制では月10日の休日があります。
4勤2休制のスケジュール例を以下に示します。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
勤 | 勤 | 勤 | 勤 | 休 | 休 | 勤 |
勤 | 勤 | 勤 | 休 | 休 | 勤 | 勤 |
勤 | 勤 | 休 | 休 | 勤 | 勤 | 勤 |
勤 | 休 | 休 | 勤 | 勤 | 勤 | 勤 |
休 | 休 | 勤 | 勤 |
「勤」は勤務日 「休」は休日
通常の勤務体制より年間24日多く、趣味や私生活を楽しむ時間が増えるでしょう。
4勤2休の工場の休み
4勤2休は、24時間稼働の工場などで採用される勤務形態で、4日勤務2日休みを繰り返します。
通常、日勤と夜勤を交互に行い、年間休日数は約121日と週休2日制とほぼ同等です。
特徴は「6日を1サイクルとするため、勤務日と休日が固定されず徐々にずれる」点です。
「4勤2休」は、夜勤による身体的負担を考慮し、工場の継続的生産を維持しながら従業員の健康にも配慮できる制度です。
工場の休みは業種やシフトによって決まる
工場の休日は、業種と勤務体系で大きく異なります。
基本的に土日休みが多く、特に親会社のスケジュールに休みをあわせる下請け工場は、この傾向が強いです。
一方、24時間稼働の製紙工場や消費期限の短い食品工場では休みが少なく、変則的な労働時間制で調整します。
シフト制では法定休日が保証されますが、緊急時には出勤を求められるケースもあります。そのため、4勤2休などの交替制は、従業員の負担と継続的生産のバランスを取る工夫が必要になるでしょう。
工場勤務でも有給休暇は取れる?
工場勤務でも有給休暇は取得できます。雇用形態に関わらず、入社6ヶ月以上で全労働日の8割以上出勤している従業員に付与されます。
付与日数は継続勤務年数に応じて増加し、下記のような付与日数となります。
継続勤務年数 | 付与日数 |
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年以上 | 20日 |
アルバイトやパートでも、週30時間以上、週5日以上、または年間217日以上勤務なら同様の条件が適用されます。
ただし、週30時間未満の場合は勤務日数に応じて付与日数が変わります。有給休暇は最大20日まで繰り越しが可能で、2年間有効です。しかし、繁忙期など取得しにくい時期もあるため、事前に確認してから取得しましょう。
休日が多い工場の特徴
休日が多い工場の特徴は、以下のとおりです。
- 自動車メーカーの工場
- 大手メーカーの工場
1つずつ解説します。
自動車メーカーの工場
自動車メーカーの工場は休日が多いのが特徴です。なぜなら、工場の停止と再開には多くのコストと時間がかかるからです。そのため、効率的な運営には計画的な休日設定が不可欠です。
多くの工場は完全週休2日制で、年間休日数は約115〜125日です。さらに年間15日程度の有給休暇があります。
ただし、職種や部署、工場の特性によって状況が異なる場合があるため、事前確認が重要です。
大手メーカーの工場
大手メーカーの工場は、一般的に休日が多いのが特徴です。理由は、労働者の健康維持を保つためです。十分な休養は労働者の健康維持と生産性向上につながります。
大手メーカー工場の年間休日数は、平均して約120日で、厚生労働省の調査による一般企業の平均110.7日を大きく上回ります。(参考:令和5年就労条件総合調査|厚生労働省)
休日の内訳は、完全週休2日制に加え、年3回の大型連休が充実しています。年末年始、夏季(お盆)、ゴールデンウィークには約8〜10日の長期休暇があります。
もっとも休日が多い例として、大手電気機器部品メーカーの3勤3休制があり、年間休日が180日に達します。ただし、具体的な休日制度は企業や工場によって異なるため、事前に確認してください。
休日が少ない工場の特徴
休日が少ない工場の特徴は、以下のとおりです。
- 24時間稼働している工場
- 消費期限が短い食品を扱う工場
- 稼働時間が短いシフトを組む工場
本章を読むと休日が少ない理由が理解できるはずです。1つずつ詳しく解説します。
24時間稼働している工場
24時間稼働している製紙工場は、休日が少ない傾向が高いです。理由は生産ラインを止められないからです。そのためシフト制を採用しています。
多くは、4勤2休や3勤1休などの形態で、平日に休日が設定されることもあります。
24時間稼働の工場では、変形労働時間制を導入し、月や年間の労働時間を調整しています。シフト制導入は、仕事とプライベートの両立がしやすいメリットはありますが、生活リズムが乱れやすいなどのデメリットもあります。
消費期限が短い食品を扱う工場
消費期限が短い食品を扱う工場は、休日が少ない傾向にあります。在庫を持てないため、生産を止められないことが主な理由です。特に、おせちや恵方巻などの季節商品の製造時期は繁忙期となり、残業も増加します。
このような工場では、3交替制などのシフト勤務を採用し、24時間稼働を可能にしています。「3勤1休」や「4勤2休」などの勤務体制で従業員の負担軽減を図っていますが、人手を多く雇えない工場では、1人あたりの負担は増加するでしょう。
稼働時間が短いシフトを組む工場
休日が少ない工場の特徴に「稼働時間が短いシフトを組む工場」も挙げられます。
なぜなら、短いシフトを組む工場では、3交替制などを採用し、24時間稼働を実現しているからです。短い稼働時間のシフトを組むことで、1日の労働時間は短くなりますが、工場全体としては休日を減らして連続稼働を可能にしています。
例えば、24時間稼働している製紙工場や消費期限の短い食品を扱う工場では、生産ラインを止められないため、上記のシフト制を導入しています。
また上記工場は、変形労働時間制を設定して月や年間の労働時間を調整しています。年間休日数は工場によって大きく異なり、61日から131日までの幅があります。製紙工場の場合、平均年間休日数は約110日とやや少なめです。
工場の土日休みに関するよくある質問
メーカーはなぜ土日休みが多いのですか?
メーカーの土日休みが多い理由は、歴史的背景と業務特性にあります。日曜日は伝統的な休日で、土曜日も労働時間短縮のため休日化が進みました。
工場では効率的な生産計画のため、土日を休みとし、祝日出勤や長期休暇で年間休日数を確保しています。
上記要因が、メーカーの土日休みの多さにつながっています。
工場の土日手当はいくらですか?
工場の土日手当は、勤務体系や会社の規定により異なります。一般的に、土曜日が法定外休日の場合、通常の残業扱いとなり、基本給の1.25倍が支給されます。日曜日が法定休日の場合は、基本給の1.35倍です。
ただし、上記の手当は代休を取得すると相殺される可能性があります。例えば、日曜出勤で代休を取得した場合、基本給は相殺され、0.35倍分のみが支給されます。
また、月60時間を超える残業には、より高い割増率が適用される場合もあります。正確な手当額は各企業の規定によって異なるため、詳細は人事部門に確認することをおすすめします。
なお、残業代は、基本的に以下の計算式に当てはめ算出します。
実際の残業時間×1時間当たりの賃金×割増率
まとめ
工場の土日休みに関して解説してきました。
- 工場の年間休日数は一般企業より多く約120日
- 大手メーカーでは長期休暇が充実
- シフト制採用で柔軟な休日取得も可能
工場勤務は、想像以上に休日が充実しています。
多くの製造業工場では従業員のワークライフバランスを重視し、年間130日超の休日を設ける企業も珍しくありません。
シフト制工場では平日の用事も休日扱いにならず、柔軟な時間活用が可能です。
このような充実した休日制度は、従業員の健康と生産性向上に寄与し、工場勤務の大きな利点となっています。
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