工場保全の仕事はきついは本当？仕事内容・きつい理由・向いている人の特徴を解説

工場保全の業務に興味をもっているが、「業務内容はきつくないか」「給料が低いうわさは本当なのか」気になる方も多いのではないでしょうか。

結論、工場保全の仕事に向いていない方が仕事に就くと、「きつい」「辞めたい」と感じる可能性はあります。

本記事では、工場保全の仕事内容から、きついと感じる理由、どのような方が向いているのかまで解説します。工場保全の仕事に興味がある方は、ぜひ本文を読み進めてください。

工場保全とは

工場の保全は、設備機器の安全性を保つため、点検および修理を行う仕事です。

設備は各企業によって異なります。「製造業であれば、工作機械の加工機、炉や釜」などを指します。

• 日常点検
• 定期点検
• パトロール点検

上記により機械や設備の現状把握が主な仕事です。

その他、詳細な仕事内容を以下に列挙します。

すべての工場保全業務で共通するのは、問題なく稼働することです。工場設備の仕事の価値はそこにあります。

工場保全の仕事内容

工場保全の具体的な仕事内容は、以下の3つです。

• 予知保全
• 予防保全
• 事後保全

上記のように大きく3つに分類されます。実際の仕事内容は各工場で異なりますが、大枠は同じです。以下で詳しく解説します。

予知保全

予知保全は、工場の製造に使用する機械の故障予兆をとらえ、故障を予知して対応することです。

大幅な修理が必要な故障の前に防止できるため、故障対応コストを抑えるメリットがあります。

近年ではAIを活用して、従来は予知できなかった故障に関しても発見できるようになっています。たとえば、ポンプ製作所において、ポンプの振動や音、温度、電流などのデータをAIモデルに学習させポンプ故障の前兆を判定することに役立てています。

予防保全

予防保全は、設備の突発的な故障を未然に防ぐのが予防保全の目的です。具体的には、定期的なタイミングで部品やユニット交換をします。この業務を「時間基準保全」と呼びます。

定期的な部品交換のタイミングは、「1年ごと」、「半年ごと」、「月または週ごと」と、各設備の規模や寿命によって異なります。

また、劣化や故障がないか定期的に点検も行います。もし、劣化など発見された場合、修理や部品交換しなければいけません。

この業務は「状態基準保全」と呼ばれ、設備保全の重要な仕事です。

事後保全

工場の生産現場で機械や設備のトラブルが発生した場合に行う保全対策です。

簡単にいえば「故障後に修理する」ことです。事後保全は、あくまで生産設備の休止損失を無視できるケースで用いられます。

たとえば、故障の発生時期が不明確な場合や、故障を予防するための準備（人員、材料、機械の手配など）が非効率と判断される場合に採用されます。

工場保全はなぜきつい？4つの主な原因を解説

工場保全はなぜきついのか、理由を4つ紹介します。

• 長時間勤務になることがある
• 夜間や休日でも呼び出されることがある
• 機械を取り扱うため危険が伴う
• 人手不足で負担が大きい

工場保全の実態を把握することで、工場保全の仕事に就くべきか判断材料になります。

長時間勤務になることがある

業務中にトラブルが発生した場合、問題解決まで帰宅できません。トラブル内容にもよりますが、少人数の保全スタッフで対応する場合、残業や時間外対応します。

ただし、普段の保全業務を確実に実施できていれば、長時間残業することは少ないでしょう。

どのような時にトラブルが発生しやすいのかを把握し、激務にならないよう対策が必要です。

夜間や休日でも呼び出されることがある

夜間や休日にトラブルが発生した場合、保全業務スタッフは対応しなくてはいけません。

夜間の呼び出しで、体調を崩してしまう方もいるでしょう。ただし、通常の場合休みのスタッフが呼び出されることはなく、勤務しているスタッフで対応します。

工場全体がストップしたなど明らかな異常事態や、勤務スタッフの技術不足で専門スキルがあるスタッフを招集したケースでは、呼び出しがあるかもしれません。

休日や夜間に呼び出しを受けると、心身の負担が大きくなり、不調をきたす恐れがあります。

機械を取り扱うため危険が伴う

工場保全の業務は危険がつきものです。たとえば、以下のようなケースです。

• 高所の電球交換
• 漏電危険のある電気設備の点検
• プレス機や切断機など、危険性の高い保全業務

上記のように、危険な機械を取り扱ったり危険な環境で作業したりするため、命に関わる事故が発生する可能性があります。ですので、工場保全の仕事はきついと言われています。

人手不足で負担が大きい

保全業務は人手不足な職種です。人手が足りないため保全業務スタッフ1人1人の負担が大きくなります。

厚生労働省のデータによると、製造業の保全・メンテナンス関連職種の有効求人倍率は5.69倍で、全職種の平均（1.28倍）を上回る結果です。

大手製造企業の保全業務スタッフの方は、700人以上働く工場の機械80台以上を3人で管理しており、場所によって保全スタッフの負担が集中している状況が発生しています。

このような状況の中で、保全スタッフは限られた人員でリソースを提供することに限界を感じています。

工場保全に向いている人の特徴3選

工場保全に向いている人の特徴は、以下の3つです。

1. 責任感がある
2. 機械を取り扱うのが得意である
3. 観察力が高い
4. 設備トラブルを解消した際に感謝される

工場保全に向いている人の特徴を知ることで、工場保全の仕事を目指すべきか判断する手助けになるでしょう。

1. 責任感がある

工場保全業務は責任感が必要です。なぜなら、適当な点検や整備をおこなっていると問題を見逃してしまい、大きなトラブルを発生させるからです。

たとえば、ある工場で定期点検時に機械の軸受けの摩耗が発見されたにもかかわらず、まだ動作していたため交換を先送りにしました。その結果、数週間後に軸受けが完全に破損し、生産ラインが丸一日停止。大幅な生産遅延と高額な修理費用が発生しました。

上記の損失は、責任感に欠ける行動が招いた結果です。生産設備を安全に稼働させるためにも、責任をもってやり通す力が必要です。

2. 機械を取り扱うのが得意である

保全業務は、機械に精通していなくては修繕できず、生産設備の構造やメカニズムを理解し、機能や性能を維持するためのノウハウを知っておく必要があります。

たとえば、以下のような理解です。

• 電気系統の理解
• 油圧システムの知識
• 制御プログラミング

取り扱う機械の知識を深めるためには、時間をかけ学ばなくてはいけません。そのため、機械が好きな人のほうが適性はあり、将来的に期待できるでしょう。

3. 観察力が高い

観察力が高いと、細かい変化にも気づきやすいため、トラブルを未然に防ぐ手助けになります。たとえば、機械の動作音の微妙な変化を察知し、ベアリングの摩耗や潤滑不足を早期に発見しやすくなるでしょう。

観察力が高いと、ミスやトラブルが減少します。観察力が高い人は、多角的視点で物事をみられたり、好奇心が強く積極的に情報収集したりする方です。

工場保全業務は、日常的な変化に気づけるかが重要です。

　

工場の保全業務は「楽しい」「ラク」という意見もある

これまで話してきた内容とは対照的に、工場の保全業務が楽しいという意見もあります。「楽しい」「ラク」と感じる背景には、以下のようなことが考えられます。

• 工場保全業務に従事することで専門知識が身につく
• 身体的な負担が少ない
• そもそも保全業務が自分に合っており、仕事できること自体が楽しい

工場保全スタッフは、取り扱う機械の専門的知識が確実に身につきます。身についた知識は、他の機械メンテナンスでも応用できる可能性があり、成長意欲が高い方はモチベーションを高められるでしょう。

また、工場の業務は立ち仕事が多いイメージですが、工場保全業務は動きまわることはあっても、ずっと立ちっぱなしにはなりづらい業務内容です。そのため、身体的な負担は少なく、立ち仕事の業務から保全業務へ移ってきた方は「ラク」に感じるかもしれません。

工場保全に必要な資格やスキルとは？

工場保全に必要な資格やスキルは具体的には、以下の3つです。

• 機械保全技能士
• 電気工事士
• 電気主任技術者

1つずつ解説します。

機械保全技能士

機能保全技能士は、機械の保全に必要な技能やスキルを証明する資格です。資格2級以上の受験者の7割が企業に在職しており、就職後に役立つ資格として評価されています。

機械保全技能士資格を取得することで、保全業務の基礎知識を深め、日常業務で活用できるようになります。

電気工事士

「電気工事士」は工場保全に必要な資格です。なぜなら、工場内の電気設備の保守、点検、修理に不可欠であるからです。

電気設備の深い知識を学ぶため、電気系統のトラブルで役立てられるでしょう。水道工事やガス工事は有資格の監督者がいれば、無資格でも工事を実施できます。

しかし、電気工事は有資格者でないと工事できません。資格には第1種と第2種があり、工場の保全業務で活かすなら、第1種の資格取得がおすすめです。1種、2種の違いは以下、表のとおりです。

		対象
電気工事士第1種	最大電力が500kw未満の電気工事	一般住宅・小規模な店舗・事務所 など
電気工事士第2種	電圧が600V以下の電気工事	ビル・工場・大型店舗 など

電気主任技術者

電気主任技術者は、ビル、施設、工事などで高圧電気施設の管理・保全をおこなえる国家資格のことです。難易度は高いですが、その分需要がある資格です。

事業者は電気主任技術者の資格を持っている人を監督者として置かなければならない」と法令で定めています。

工場で電気設備の保全をおこなうのであれば、必須の資格であり、資格手当を支給してくれるケースもあるため、収入アップも目指せるでしょう。

工場保全で働く人の年収

厚生労働省が運営するjob tagのデータによると、設備管理・保全の年収は512万円です。全職種の平均年収は、467万円であり、設備管理・保全の平均年収のほうが上回ります。

設備管理・保全の年収を、年代別でみると以下のとおりです。

• 20代：388.19万円
• 30代：516.16万円
• 40代：579.72万円

また上記のデータは、正社員の平均年収です。派遣社員の場合、地域や勤める工場により幅がありますが、時給1,000円〜1,800円が一般的です。

8時間勤務、毎月22日した場合の平均年収は、以下のとおりです。

	月収	年収
1,000円の場合	176,000円	2,112,000円
1,800円の場合	316,800円	3,801,600円

上記のように雇用形態で、平均年収が異なるケースもあります。

工場保全のキャリアイメージとは？

具体的なキャリアイメージは以下のとおりです。

上記は、あくまで一例ですが、工場保全の仕事にはキャリアパスがあります。また、仕事に必要なスキルを身につけることで、転職して仕事の幅を広げることも可能です。

まとめ｜工場保全は工場全体に関わるやりがいのある仕事

工場保全の実態と重要性についてご紹介しました。

工場保全というと、過酷な労働環境で「きつい」イメージを持つ方もいるようです。

しかし、工場保全は企業の生産活動を支える重要な業務であり、企業にとって価値のある仕事です。そのため、多くの企業では工場保全スタッフのスキルアップや労働環境の改善に力を入れており、やりがいを持って働けることが工場保全の大きな魅力です。

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