高卒で製造業勤務のリアルな年収は？「安い、稼げない」は嘘だった

「高卒で製造業勤務の人の年収が知りたい」「高卒で製造業に就いた場合のキャリアを知りたい」など、高卒で製造業に就いた場合の年収や待遇について気になっている方も多いのではないでしょうか。

製造業は学歴が問われないため「稼げない」と思われがちですが、そうではありません。

実は、高卒で学歴や資格がなくても稼げるのが製造業の魅力です。

そこで今回は、高卒で製造業に就いた場合の年収について紹介していきます。

具体的な年収や他業界との比較、製造業の仕事内容や魅力などについても解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

高卒の製造業の年収は？

高卒の人が製造業で働くと年収はどうなるのでしょうか。まずは統計データで見ていきましょう。

政府が調査した「賃金構造基本統計調査」のデータベースより、製造業に勤める高卒者の賃金の統計を表にまとめると以下の通りです。（参考：「賃金構造基本統計調査 統計」）

【表1：製造業で働く生産労働者（高校卒）の平均賃金状況】

＜男性＞

年齢	年収算出*（円） （カッコ内は全業種高卒平均）	年間賞与その他特別給与額 （円）
20歳	2,329,200 (2,451,600)	711,400
25歳	2,716,800 (2,797,200)	923,200
30歳	3,223,200 (3,104,400) 	1,192,400
35歳	3,486,000 (3,422,400) 	1,183,000
40歳	3,872,400 (3,736,800) 	1,341,400
45歳	4,291,200 (3,999,600) 	1,621,100
50歳	4,604,400 (4,144,800) 	1,751,800
55歳	4,695,600 (4,244,400) 	1,799,600
60歳	3,241,200 (3,216,000) 	1,758,900

＜女性＞

年齢	年収算出*（円） （カッコ内は全業種高卒平均）	年間賞与その他特別給与額 （円）
20歳	2,223,600 (2,275,200) 	557,500
25歳	2,503,200 (2,418,000) 	770,700
30歳	2,541,600 (2,479,200) 	794,800
35歳	2,638,800 (2,593,200) 	802,400
40歳	2,799,600 (2,662,800) 	898,400
45歳	3,499,200 (2,808,000) 	1,234,000
50歳	3,142,800 (2,802,000) 	1,095,500
55歳	3,421,200 (2,808,000) 	1,273,300
60歳	2,302,800 (2,473,200) 	957,900

（＊:1カ月分の賃金額をもとに、年間の収入に換算）

高卒の全業界平均（カッコ内数値）と比較しても、製造業は平均的か、それ以上の収入です。

さらに、製造業は賞与などの特別給与が高い傾向にあるため、実際にもらえる金額はさらに高いでしょう。「製造業は他の業種よりも稼げます。」

高卒で製造業で働く場合、賞与などを合わせると男性の場合20歳には年収が300万円を超えます。

55歳前後で収入は最高となり、年収は男性で650万円近くにまで上ります。

これらの値はすべて平均ですので、個人の能力や務める企業によってはさらに年収を上げることができます。

製造業は高収入！業種別の年収は？

ここまで、高卒で製造業に勤務した場合の平均年収を年齢別に見てきました。

高卒の全業界平均と比較すると、「製造業は収入が高い傾向にある」ということはお分かりいただけたかと思います。

では、業種別に見ると、製造業の年収は何位なのでしょうか。

また、製造業よりも年収が高い業種はあるのでしょうか。気になりますよね。

ここからは、業種別の年収を紹介していきます。国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果」を参考にすると、業種別の平均年収は以下の通りです。 

【業種別の平均給与（参考：「平成30年分民間給与実態統計調査結果」）】 

産業名 （年収が高い順）	平均年収（円）
電気・ガス・熱供給・水道業	7,590,000
金融業、保険業	6,313 ,000
情報通信業	6,224,000
製造業	5,195,000
建設業	5,015,000
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業	4,979,000
不動産業、物品賃貸業	4,459,000
運輸業、郵便業	4,446,000
医療、福祉	3,972,000
卸売業、小売業	3,830,000
複合サービス業	3,633,000
農林水産・鉱業	3,116,000
宿泊業、飲食サービス業	2,506,000
業種平均	4,407,000

この表を見ると、全業種平均年収440万円に対して、製造業の年収は約520万円と比較的高いことがわかります。

業種別で見ても第4位につけており、年収が高いのが特徴です。

製造業よりも年収が高い業界とは？

年収の業種平均約440万円に対して、最も年収の高い「電気・ガス・熱供給・水道業」は759万円です。

日本のインフラを担う大企業が多いということもあり、専門的な知識や資格も必要となるため年収が高くなっています。

2位は「金融業、保険業」です。高卒で銀行に入るのは狭き門ですが、「保険会社の営業職」などであれば就職するのもそれほど難しくないでしょう。

ただ、年収はインセンティブの割合が大きく、実力主義の業界です。

年収の高い業界3位には「情報通信業」が並びます。

インターネットの需要が高まっている昨今、なくてはならないインフラとして収入が高いです。学歴よりも実務経験を重視する業界の風潮があり、知識やスキルを身につけることができれば活躍できるでしょう。

ただ、上位3つはどれも「学歴がないと就業が難しい」「就業にはスキルや知識が必要」「収入は歩合制」など、個人の能力が求められる傾向にあります。

一方で製造業は学歴や知識は問われないため、率直に言うと「高卒で稼ぎたいのであれば製造業がおすすめ」です。

年収が低い業界は？

年収が低い業界としては、「小売業」や「サービス業」が並びます。これらは学歴や知識に関係なく就業できる半面で、年収は低いのが特徴です。

これらの業界の仕事が好きであれば就業しても問題ありません。

ですが、「未経験でも就業できる」という点だけで就業を考えているのであれば、圧倒的に稼げる製造業への就業をおすすめします。

なぜ高卒でも工場勤務の年収は高い？

ここまで、業種別の年収について紹介してきました。

製造業は他の業界と比べても年収が高い傾向にあり、高卒・未経験でも働ける仕事としてはトップクラスの年収を誇ることはお分かりいただけたかと思います。

では、未経験でも働ける製造業の年収はなぜ高いのでしょうか。

大きな理由としては、以下の3つがあげられます。

1つずつ詳しく解説していきます。

平均給与が高い

製造業は純粋に給与が高い傾向にあります。

先ほどもデータで紹介しましたが、全業界平均よりも給与が高いことが特徴です。

具体的な給与相場は、以下の通りです。

製造業は大企業も多く、製造業全体の業績も良いため、比較的高い給与を出す余裕があります。

実際に求人を見ると、地域にもよりますが、アルバイトであっても時給1500円近いものも少なくありません。

正社員や期間工では未経験からでも月収40万円前後が可能な求人もあります。

給与以外の手当もある

製造業の年収が高い理由として「給与以外の手当もある」ということがあげられます。

製造業には、以下のような手当てがあります。

これらの手当が充実しているため、製造業は給与以上に受け取れる金額が高くなります。

とくに入社祝い金は求人によってかなり高額で、自動車メーカーの中には50万円近い入社祝い金を支給してくれる場合もあります。

手当も含めて収入が高額になるのが、製造業の特徴です。

福利厚生も手厚い

製造業は手当が充実しているだけでなく、福利厚生などの待遇が手厚いことも魅力です。

製造業は「期間工（期間が定められた契約社員）が定期的に入れ替わる」「アクセスが悪く、人手が集まらない」などの理由から「人手不足」の工場が多くあります。

そのため、「寮費無料」などの待遇の良さをアピールして人手を集めている企業が多くあります。

具体的な福利厚生の例は、以下の通りです。

これらは実際に受け取れる金額が高くなるわけではありませんが、毎月の生活費がかなり浮くため、高収入と相まって貯金がしやすいのが製造業の魅力です。

高卒の工場勤務で年収を上げるには？

ここまで高卒の製造業の年収について、他業界よりも高い理由を紹介してきました。

製造業は大企業が多く、人手不足にも悩まされていることから、給与だけでなく手当や福利厚生が充実しています。

では、高卒で製造業で働くにあたって年収を上げていくには、どうすればいいのでしょうか。

ここからは、高卒製造業の昇給やキャリアについて紹介していきます。

この章の内容をまとめると、以下の通りです。

1つずつ詳しく解説していきます。

資格を取得する

製造業では、それぞれの工場で重宝される資格があります。

それらの資格を取得することで、役職に就けたり、資格手当を受け取れるなど、より給料の高い工場に転職することでも年収アップを見込めます。

具体的には「フォークリフト」や「クレーン」「玉掛け」「溶接」などの現場で活躍する資格もあれば、「安全管理者」「衛生管理者」など管理系の資格もあります。

工場によっては資格の取得を支援してくれる制度もあるため、年収アップを狙う場合は制度を利用してスキルアップを目指すのも1つの手です。

夜勤などの手当を利用する

繰り返しになりますが、製造業にはさまざまな手当が充実しています。

とくに夜勤手当は、深夜帯に勤務することで給与が「基本給×1.25倍」になるため、ガッツリ稼ぎたい人は積極的に夜勤に入っています。

他にも、入社時に受け取れる入社祝い金や、経験者に支払われる経験者手当など、各種手当を利用して年収アップが可能です。

製造業に勤務している人の中には、「年収450万円のうち100万円以上が手当による収入」という人も少なくありません。

給料の高い工場を選ぶ

年収を上げるには「もともと給料の高い工場を選ぶ」「給料の高い工場に転職する」ということも手段の1つです。

就業する工場によって、当然給料は異なります。

では、どういった工場を選べば年収が高くなるのでしょうか。

給料の高い工場の例は、以下の通りです。

基本的には中小零細企業よりも、大企業の方が年収が高い傾向にあります。

大企業であればそもそもの給与が高いだけでなく、賞与（ボーナス）や臨時給与も大きいため、「稼ぎたい」と考えているのであれば迷わず大企業に就職することをおすすめします。

また、工場の中でも「何を作っているか」で年収は変わってきます。

とくに稼げる業界は「自動車」「半導体」「医療系」の3つです。

どれも企業規模が大きく、製品自体の需要も高いため、業績が安定しています。

工場の主な仕事内容

ここからは、実際に工場勤務の仕事内容や種類について解説していきます。

工場勤務の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてくださいね。

まずは具体的な仕事内容の一覧を紹介していきます。

まとめると、以下の通りです。

高卒で工場に勤務する場合、学歴や知識が不要な「組み立て」「検査」「仕分け」「塗装」などのライン作業の仕事に就くことが多いです。

そこで経験を積んだり、働きながら勉強して資格を取得したりすることで、スキルアップ・キャリアアップしていきます。

この記事では、上記の仕事内容一覧にもある「ライン作業」「ピッキング」「管理・メンテナンス」の職種について紹介していきます。

ライン作業

「ライン作業」は、製品の組み立てや検査などを行う仕事です。

一つの作業を繰り返すことが多く、そのためには集中力と正確さが求められます。

また、効率性と速度が重要で、生産ラインがスムーズに動くように作業を進める能力も必要です。

ピッキング

「ピッキング」は、倉庫で商品をピックアップし、出荷する仕事です。

商品の種類や場所を素早く把握し、正確にピックアップする能力が求められます。

また、商品管理システムの操作も必要になることがあり、その場合はPCスキルも重要になります。

管理・メンテナンス

「管理・メンテナンス」は、工場の設備や機械の管理、保守を行う仕事です。

専門的な知識が必要で、トラブルシューティングや修理も含まれます。

また、設備の性能を最大限に引き出すための改善提案など、創造的な思考も求められます。

高卒で工場勤務するメリット

ここまで、製造業の仕事内容について紹介してきました。

続いて、高卒で製造業で働くメリット・デメリットについて紹介していきます。

まとめると、以下の通りです。

1つずつ詳しく解説していきます。

資格がなくても稼げる

繰り返しになりますが、製造業は資格がなくても稼げることがメリットです。

一般的に年収の高い業種は「資格が必要」「学歴が必要」という傾向にありますが、製造業は学歴や資格がなくても稼ぐことができます。

同世代が「未経験で収入の低い仕事をしている」「資格や学歴を取るために勉強している」という間に、製造業で高い給料を受け取れます。

「若いうちから稼ぎたい」「同世代よりも贅沢したい」という場合は製造業がおすすめですよ。

未経験でも仕事をすぐ覚えられる

製造業は「未経験でも就業でき、すぐに仕事を覚えられる」ということがメリットです。

製造業の仕事内容は「単純作業」「毎日同じ作業の繰り返し」という業務が多いです。

そのため、「覚えることが少ない」「1度覚えてしまえば頭を使わなくても働ける」ことが魅力です。

これが一般企業の場合だと、入社後数か月間は研修があり「電話対応」「ビジネスマナー」「自社についての知識」「業務内容」「パソコンスキル」などあらゆることを学ばなくてはなりません。

また、製造業は作業は単純なため、1人1人の能力に大きな優劣がついたり、評価が出たりすることはほとんどありません。

「仕事を覚えられるか不安」「頭を使って作業するのが苦手」「評価を気にして働きたくない」「人と比べられるとプレッシャーになる」などの場合、製造業の仕事がおすすめです。

スキルを身に付けられる

高卒で製造業に就くメリットとして「スキルを身に付けられる」ということがあります。

製造業は現場での経験が重視される傾向があるため、高卒で早いうちから経験を積むことで、同年代の大卒よりも早くスキルを身に付けられます。

また、工場によっては「フォークリフト」「溶接」など資格があると重宝される仕事も多数あるため、スキルを積んで資格を取ることで、昇給することも可能です。

資格の受験資格の中には「○年以上の現場経験」などのように、現場経験がないと受けられない資格も中にはあるため、高卒で早いうちから経験を積めることは大きなメリットと言えます。

高卒で工場勤務するデメリット

ここまで高卒で製造業に就くメリットを紹介してきました。

高卒で早いうちから製造業の経験を積むことはメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。

ここからは、高卒で製造業に就くデメリットを紹介していきます。

内容をまとめると、以下の通りです。

1つずつ詳しく解説していきます。

就業後に後悔しないためにも、デメリットをあらかじめ把握しておきましょう。

体力を使うことも

高卒で製造業に就くデメリットとして「体力を使う仕事に就く可能性がある」ということがあげられます。

製造業の仕事の中には「重い部品を取り付ける組み立て作業」「工場内を動き回るピッキング作業」など、体力を必要とする仕事があります。

とくに高卒の若くて体力がある人は、体力が必要とされる部署に配属される傾向にあるため、「体力を使う可能性がある」ということは覚悟しておきましょう。

もし体力に自信がない場合は、上司に相談するか、「塗装作業」「検査作業」など体力を必要としない仕事を希望しましょう。

また、就業後に「体力的にきつい」と感じた場合、フォークリフトなどの資格を取得して、体力を必要としない仕事に移るのも手です。

同じ作業の繰り返しで飽きる

製造業の仕事は「人によっては同じ作業の繰り返しで飽きる」というデメリットがあります。

製造業の仕事内容の多くは「単純作業の繰り返し」のため、「覚えることが少なくて楽」「頭を使わないから楽」と感じる人もいれば、「毎日同じ作業で飽きる」と感じる人もいます。

「同じ作業の繰り返しが飽きる」という方は「1日にどれくらいの作業ができるか」「どれだけスピードと正確性を上げられるか」など、毎日目標を持って仕事をすると飽きにくいため、試してみてください。

また、「資格を取得する」「昇給する」など、長期的な目標を持つことも、飽きを防ぐのにおすすめです。

人脈が広がりにくい

製造業の仕事は「人脈が広がりにくい」ということもデメリットです。

製造業の仕事は「自分が担当する作業を黙々と繰り返す」という仕事が多いため、他企業との関わりはもちろん、他部署との関わりすらほとんどありません。

自然といろんな人と関われる「大学進学」や、他企業・他部署とのやり取りがある「一般企業への就職」と比べると、製造業での就職は人脈が広がりにくい傾向にあります。

「人脈を広げたい」と考えている場合は、他部署とのコミュニケーションなどを積極的に行うといいでしょう。

工場勤務が向いている人は？

ここまで「高卒で製造業に就くメリット・デメリット」について紹介してきました。

高卒で製造業に就くことで稼ぐことができ、スキルアップも可能な反面、人脈が広がりにくいという特徴はお分かりいただけたかと思います。

ここまで読んで「自分は製造業に向いているだろうか」と考えている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、製造業に向いている人の特徴について紹介していきます。

ぜひ「自分に当てはまるかな」という視点で、参考にしてくださいね。

製造業に向いている人の特徴をまとめると、以下の通りです。

1つでも当てはまるなら、製造業に向いているでしょう。

ぜひ製造業の求人への応募を、検討してみてはいかがでしょうか？

【まとめ】高卒の工場勤務は年収が高い！

ここまで、高卒の製造業の年収について中心に紹介してきました。

この記事の内容をまとめると、以下の通りです。

この記事の内容を参考にして、ぜひ高卒から製造業への就職を成功させてくださいね。

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今回は製造業の年収について中心に紹介してきました。

製造業は「他業種よりも高収入」「未経験でも稼げる」ということから、製造業への就業を積極的に考えている人も多いのではないでしょうか。

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